2023年1月9日月曜日

何作る? 生地の特徴を生かす

 着物と一口に言っても生地の種類も染の種類も色々あって、作られた時代も様々なので、ほんとうにいろんなものが存在してます。

着物の生地の特徴によって、どういうものを作るのに向いているか、という個性があるのです。

絹の着物のリメイクの際に気をかけた方がよいポイントをまとめます。


ポイントは

  • 生地の強度と傷み具合
  • 生糸(正絹)か真綿(紬)か
  • リメイク後の洗濯のしやすさ
  • 柄や織り模様の個性

です。


生地の強度と傷み具合

大きな柄ゆきの銘仙なんかはとてもかわいらしい柄も多いので、リメイク本にもよく登場しますが、もともと戦前の庶民の普段着なので、生地が薄く(紙みたい)、古い上に着倒していて生地が弱っているものも多いし、汚れや虫による穴あきも多め。

なので、パンツやスカートなどにしてお尻の部分に縫い目が来ると着用に不安があるし、バッグにする場合はどのくらいの重さのものを入れるか、裏地をどうするか等工夫が必要になってきます。

銘仙は全体を使って服にするよりも、服のポイントや小物に使う方がむいているかな~と思います。


生糸(正絹)か真綿(紬)か

着物を構成している絹には大きく分けて2種類あって、繭の糸を1本の糸になるように丁寧に取り出して糸にした生糸と、繭をふわっとしたままコットンの綿花のように真綿にして、それを紡いで糸にした紬糸。

生糸を布に仕上げたのが正絹で、紬糸で作った布が紬になります(例外的に大島紬のように生糸で作った生地もあります)。

紬はもともと生糸にならないB級の繭を使ったことからカジュアルな着物として使われていて、リメイクしてもフォーマルな使い道よりはカジュアルな方が合うかなあと思います。

デニムとの相性も良いですし、紡ぐ際に空気の層を作るため温かみがあって、マフラーなんかにも向いています。


リメイク後の洗濯のしやすさ

総絞りの着物は色が出やすく、洗濯でせっかくのしぼが染まってしまったり、アイロンでしぼがつぶれやすいので、洗う機会の少ない小物の方が扱いやすいと思います。

還元系漂白剤に長く浸けてしまった絞り生地

御召や縮緬などは生地にするときに糸に撚りがかかっているので、洗濯すると切なくなるくらい縮むものもあるのですが、濡らしてみないと縮み具合は分からなくて、着物の段階とほどいて洗濯した後だとイメージが違ってしまったり、ということもあります。

水色の縮緬はほとんど縮んでいませんが、紺色の方はかなり縮みました
正円の模様だったのが楕円になってます

縮みが大きい生地はアイロンのかけ具合でまた伸びてゆがみの原因になるため、洗濯→アイロンを繰り返す用途では使いづらいです。


柄や織り模様の個性

着物の時には地味な地模様のある色無地だったのが、ブラウスにしたらとろみ感のある女性らしい雰囲気になったり、重々しい色合いの小花の小紋が優しい雰囲気になったりと、服全体の中での分量が変わるだけで一気に身近な存在に。

1960~70年くらいに流行ったのかな?というような、ちょっと度肝を抜かれるようなモダンな柄ゆきの着物なんかはアロハにしてサッと羽織るように着るのもカッコイイ。

個性強めの生地は使う分量を控えたり、他の生地と組み合わせたりすることで新たな個性を生み出してくれたりするので「こんな柄、使い道あるかな?」という生地も大事にしていただけたらと思います。



あとは自由な発想で、着物だったことを忘れて好きなものを作りましょう!

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